CBGとは?CBDの次なる進化系、CBGの魅力や効果とは?
執筆者:Tahara Sayumi(医師・研究者)
執筆者:Tahara Sayumi(医師・研究者)
経歴:医学部医学科卒業後、大学病院にて勤務。病理専門医資格を有する。
現在は米国The Ohio State University Comprehensive Cancer CenterにてPostdoctoral Researcherとして研究留学中。自身もCBDやCBN等、カンナビノイドの活用性に可能性を感じており、臨床応用が進む米国現地における最新の研究成果や論文をベースとした、研究者視点での執筆を得意とする。
はじめに
CBGとは何か
カンナビノイド(Cannabinoid)は麻(大麻草)に含まれる化学物質の総称で、CBG(Cannabigerol:カンナビゲロール)は数あるカンナビノイド成分のうちの一つです。
しかしながら麻における含有量はごく僅かであり、重量で換算すると全体の1%未満。
その希少性から、「レアカンナビノイド」「最強カンナビノイド」の異名も持ちます。
CBGの特徴とは
CBGの元となるCBGA(Cannabigerolic acid:カンナビゲロリン酸)は、植物が成熟するにつれてCBDA(Cannabidiolic acid:カンナビジオール酸)、CBCA(Cannabichromenic acid:カンナビクロメン酸)、THCA(Tetrahydrocannabinol acid:テトラヒドロカンナビノル酸)に分化し、それぞれ加熱されることによってCBD(Cannabidiol:カンナビジオール)、CBC(Cannabichromene:カンナビクロメン)、THC(Tetrahydrocannabinol:テトラヒドロカンナビノール)を作り出します。そして、これらに分化し得なかった残り物のCBGAが最終的にCBGとなります。
この場合、CBGはCBD・CBC・THCの「前駆体」と呼ばれるのですが、要するにCBGはCBD・CBC・THCの親的な存在と言うことなのです。
なぜCBDからCBGへ注目がシフトしているのか
CBDには不安や鬱、禁煙に伴う離脱症状、てんかん等に対する治療効果が期待されています。
一方CBGには、CBDと類似した効果に加え、指定難病認定されている神経疾患への症状改善効果も認められています。
(詳細は「CBGの医療への応用」項目参照)。
魅力的に見えるCBGですが、今までなぜCBDの方が脚光を浴びてきたのでしょうか。
CBGはCBDと比較すると抽出可能な量が圧倒的に少なく、その希少性故に研究がなかなか進まなかったのが大きな原因の一つと考えられます。
しかしながら最近は、麻の品種改良によるCBG含有量の多い品種の出現や、抽出技術の発達が試みられています。
CBGの採取がより現実的となった今、これまで不可能だった研究が段々可能になってきました。
そして様々なエビデンスが集まってきたことにより、CBDでは見られなかったCBG特有の新たな効果が近年発見されるようになり、注目を集めるようになりました。
カンナビノイドの基本知識
カンナビノイド(Cannabinoid)は麻(大麻草)に含まれる化学物質の総称です。
大麻草の一種であるCannabis sativaからは、400種類以上の化学物質が検出され、そのうち80種類が生理学的活性を持つ(私たちの生体反応に何らかの影響を及ぼす)ことが2022年に報告されました。
特に中枢神経系や免疫機能に影響を与える可能性が指摘されています。
麻に最も多く含まれているカンナビノイドはCBD及びTHCです。
大麻と聞くと「気持ちよくなる」「依存性がある」「違法」「使用すると逮捕されてしまうのでは…?」と言うネガティブな印象を受けませんか?
第一に、カンナビノイドは麻のみでなく、オレンジやハーブなどの植物にも含まれているのです。
これを聞くと少し身近な物質に感じてくるかと思います。
更に、依存性のある、私たちを”ハイ”にさせる成分は、カンナビノイドの中でも主にTHCによってもたらされる効果です。CBDやCBGにはこの陶酔効果はない、またはあってもTHCと比較すると格段に弱いと考えられています。
また製品の中で、依存性の認められるTHC成分が含有量0.3%以下であれば違法にはならないと法律でも定められています。
CBDとの関係性
CBDはカンナビノイドの一種で、麻に最も多く含まれている成分の一つでもあります。THCと異なり、陶酔作用・依存性は認められていません。必要量の抽出が比較的容易にできることにより、様々な研究が既に行われており、不安解消・抗炎症作用・アルツハイマー病への効果が報告されています。CBDはCBGの前駆体となるCBGAから構築されますが、CBG・CBC・THCいずれにも分化しなかった残り物のCBGAが最終的にCBGへ分化します。
CBGの特徴
CBGを親として、子供に値するCBD・CBC・THCが合成されます。
CBDと同様、CBGにもTHCに認められる陶酔作用・依存性は指摘されていません。
CBGの効果には抗炎症作用などCBDと類似したものも含まれますが、加えて神経保護作用も報告されており、多数の神経疾患への臨床応用が期待されています。
CBGの働きと効果
エンドカンナビノイドシステム(ECS)の役割
カンナビノイド及びその受容体は決して特別なものでなく、私たちの体内に元来備わっている機能の一つです。
その経路をエンドカンナビノイドシステム(Endocannabinoid system:ECS)と呼びます。
受容体とは、化学物質等の刺激物が効果を示すために必要とされるスイッチのようなものです。
CBD・CBG等の物質がこのスイッチを押すことにより、エンドカンナビノイドシステムが作動します。
私たちの体には元々、エンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)と言う物質の生産能力が備わっています。
なんと!エンドカンナビノイドは麻から抽出されるカンナビノイドと類似した構造を持っており、双方共にカンナビノイド受容体に作用できるのです。
カンナビノイド受容体にはCB1とCB2の2種類があり、CB1は主に中枢神経に、CB2は 主に末梢神経に分布していると言われています。CB1は神経伝達、CB2は炎症反応・免疫機能に関与しています。
CBGの潜在的な利点と効果
CBGはCB1及びCB2双方の受容体に結合可能です。この受容体は私たちの体内の至る所に分布し、特に熱さや痛みを感じる感覚系や血管内皮に存在すると報告されています。
結果として、現在既に応用されている不安・疼痛・うつ病・不眠障害・神経保護作用にのみでなく、将来的には血圧調整や疼痛コントロールにおける役割も期待されるでしょう。
CBGとCBDの違い
化学的な構造と作用機序の比較
CBDの化学式はC21H30O2、CBGの化学式はC21H32O2で、構造はFigure 2の通りです。真ん中から右の範囲はCBD・CBG共通で、左側に差が見られます。
しかし、さすが親に値するCBGと子に値するCBD、比較的類似した構造を有している印象です。
CBDもCBGも、ECSを活性化/不活性化することにより私たちの身体へ影響を及ぼします。
しかしながら、この共通点の多い二つの物質には、ECS活性化の方法に違いがあります。
CBDはECSを活性化させたくても受容体に直接結合する力が弱く、結果的にエンドカンナビノイドをまず生成させ、間接的にECSに働きかける方法をとります。
一方CBGは、CB1・CB2いずれの受容体にも直接結合することができるのです。
またエンドカンナビノイド受容体だけでなく、セロトニン受容体への関与も指摘されています。
セロトニンは「幸せホルモン」として有名ですが、一方で悪心嘔吐に対する働きも見られる物質です。
ラットを用いた実験では、CBDは悪心や嘔吐を抑制する方向(セロトニン受容体アゴニスト)へ、CBGは促進する方向(セロトニン受容体アンタゴニスト)へ働きが見られました。
CBGを選ぶ理由とCBDとの併用のメリット
CBGはTHCやCBDの前駆体であるためか、双方の作用の多くをカバーしているようです。
米国における調査では、CBGユーザーの70%が不安・疼痛・うつ病・不眠障害に対して従来服用していた薬よりも高い効果を感じたと答えています。更に、より高い効果が得られるのみでなく、CBDよりも低容量で同等の効果が得られる可能性も指摘されています。
CBDとCBGを併用することで、アントラージュ効果(相乗効果)が得られ、より強力な抗炎症作用により神経炎などを治療する可能性も考えられています。
一方、併用したからと言って新たな副作用が生じるという報告はあまり聞かれません。CBD単独で良い結果が得られなかった場合、試しにCBGを併用してみるという使い方も一つの方法でしょう。
CBGの医療への応用
CBDと類似した効能に加え、難治性てんかん、ハンチントン病・パーキンソン病・多発性硬化等の神経変性疾患、炎症性腸疾患、更に緑内障にも効果があると報告されています。
更に、THCやCBDに加えてCBGを使うと抗がん作用を発揮する可能性も指摘されており、実際に2021年に発表された研究では乳がんの進行を抑えたそうです。
また、MRSAと言う従来の抗菌薬に耐性を示す厄介な菌に対する抗菌作用も報告されています。
CBGの現在の研究と将来展望
現在のCBG研究の概要と進展状況
CBGにおける研究報告数は、50年前では年間に20本未満、20年前でもまだ40本だったのに、去年2022年になると年間191本!50年前の9倍です。昨今の盛り上がりが一目でわかります。
研究内容としても、最初は動物実験から始まりましたが、健康成人を対象とした治験を経て、現在では実際の患者さんへ積極的投与されており、効果がどんどん実証されています。
2023年に発表された最新の論文をみると、上に記した疾患のみでなく、メラノーマという珍しい悪性腫瘍に対しても抗がん作用を示していました。
抗悪性腫瘍、老化、自己免疫疾患等、CBGには本来予想されていた範囲にとどまらない幅広い活躍が期待されます。
CBG製品の種類
最も手軽に入手できるのはオイルの形態です。
日本ではまだあまり普及していませんが、専門家によると吸入して摂取できる粉薬や、舌下投与薬、局所薬も存在するそうです。
最も大切なのは、購入する前に必ず分析証明証を確認して、製品に含まれている成分をチェックすること。大麻草が原料となっていることからも容易に想像できるように、透明性に欠けた怪しげな製品が存在するのも事実です。自分で購入する際には、しっかりと安全の保証された会社の製品を選びましょう。
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初めての購入の際は、シーンにあわせたフレーバーつきの「Starter Kit」がおすすめ。
まとめと今後の展望
CBGの魅力と利点の再確認
*CBGは麻における含有量が少なく、必要量の抽出が困難であったため研究がこれまで進んでこなかった
*近年の技術開発の結果、より多くのCBGを得られるようになってきた
*研究が進むことで、本来知られていなかった新たな効果が発見されてきた
*CBGはCBD・CBC・THCの前駆体であるため、これらをカバーした幅広い効能が見られる
*CBDと比較すると、より少量で同程度の効果を得られる可能性がある
*効果は不安・疼痛、うつ病・不眠障害、難治性てんかん、ハンチントン病・パーキンソン病・多発性硬化等の神経変性疾患、炎症性腸疾患、抗菌作用、抗がん作用など多岐に渡る
*THCに見られる陶酔作用・依存性について、CBGでは明らかなものは報告されていない
CBDユーザーがCBGに注目する理由
*CBDとCBGは類似した効能が見られるため、CBDの代替薬としてCBGを受け入れやすい
*従来服用していたCBDとCBGを併用することにより、相乗効果によってより強力な結果を得られる可能性がある
*CBDもCBGもTHCと異なり、合法薬であるため安心して使用できる
CBGの将来への期待と普及の可能性
以上、CBGがいかに将来有望な薬剤であるかお分かりいただけましたでしょうか?
今まで知られてこなかったのは、充分量を抽出することができなかったという技術的な限界があったからなのですね。疼痛や炎症のコントロールにおいて、同一薬剤を長期間使用しているとだんだん効果が弱くなってくることがあります。その際に、CBDのみでなくCBGと言う新たな選択肢が増えるのはとても嬉しいことです。
更に、併用可能・相乗効果あり・副作用なしと聞くと魔法薬のよう。近年の研究の進歩によって抗腫瘍効果を示したことも嬉しい発見です。
効果は個人個人で異なる可能性がありますが、将来の臨床応用において大きな期待を背負うこと間違いなしのCBG。
今後の発展から目が離せません。
参考文献
– Decreased melanoma CSF-1 secretion by Cannabigerol treatment reprograms regulatory myeloid cells and reduces tumor progression
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37325437/
– Chapter 14 – Cannabidiol in Refractory Epilepsy
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/B9780444640567000143?via%3Dihub
– (図を使用)
https://hellobatch.com/blogs/insights/what-is-cbg-cannabigerol
– Phytochemistry of Cannabis sativa L
https://link.springer.com/chapter/10.1007/978-3-319-45541-9_1
-The Cannabinoid CB2 Receptor as a Target for Inflammation-Dependent Neurodegeneration
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2435344/
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